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nozaのなんとなく週末日記。
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05.異世界の彼女

そもそもユキヒの悩みとは何だろう…。
ディナはそれを考えながら長い学校の廊下を歩く。昨夜、マイラはユキヒの悩みを聞いているはずだった。しかし彼女は教えてくれない。

廊下には同じ服を着た生徒たちが立ち話をしていたり、歩いていたりする。この服はユキヒの学校の制服なのだとマイラは言っていた。窓から見える中庭にも沢山の生徒がいた。この建物全てが学校であり、およそ600人程の生徒がここで学んでいるとのことだった。もちろんここはユキヒの世界を模した彼女の夢の中なのだが、おそらく緻密に再現されているのだろう。
ある教室の前でマイラは止まった。教室の中をのぞくと、周りの人々と同じ制服を来たユキヒを見つけた。友達らしき人物達と楽しそうに会話をしていた。

「ユキ…」もご
トルツは彼女を見つけた瞬間、大声で呼ぼうとしたが、マイラが後ろから両手で彼の口をふさいだ為ユキヒにその声は届かなかった。
「なぜ止める」
怒るトルツとは裏腹に、マイラはにこにこしながら言った。
「郷に入っては郷に従えって。ちゃんとこの世界のルールに従わないとスムーズに行かないわよ」
この世界のルールとは何なのかとディナが問うと、マイラはおもむろに教室の中、入り口付近にいた生徒を呼びだした。
「鵲さんを呼んでくれる?」
"カササギ'とは確かユキヒの姓だ。なぜ彼女がそんなことまで知っているのかも気になるが、それよりもなぜ彼女はユキヒの世界のルールと言うものを知っているのか疑問に思う。
「この人達が鵲さんに用があるんだって」
マイラに急に振られて2人は焦る。確かにマイラに任せきりなのは悪い様な気はしていたが、いきなり振らないでほしい。
そう言われた男子生徒はなにやらニヤニヤしながらユキヒを呼びに言った。
「鵲、男の先輩が用があるって呼んでるぞ」
男子生徒はわざと周りにも聞える声でユキヒに用件を伝えた。それを聞いた者たちがユキヒの方を見たり彼らの方を見たりする。
おそらく一種の冷やかしの類いなのだろうとディナは予想する。
マイラを含めディナとトルツは先輩という設定らしい。よく見るとユキヒやこの教室にいる他の生徒はエンジ色のネクタイをしているが、彼ら3人は深緑色のネクタイだった。ネクタイの色で互いの上下関係を区別しているのだろう。

「何かご用でしょうか!」そう言って彼らの目の前に現れたのはユキヒではなかった。先ほどまでユキヒと話をしていた2人の女子生徒が威圧的な態度で立っていた。その後ろにユキヒが不安げな表情で顔を覗かせている。どうやらユキヒはディナやトルツのことがわかならいらしい。
「僕たちはその子と話をしたいのですが」
ディナは丁寧な口調だったが、トルツには彼が苛立っているのがわかった。
「最近多いんですよね、夕貴妃に言い寄る先輩が」
弱々しい声で後ろからユキヒが友達をなだめようとする。
「とにかく、夕貴妃は先輩方に心当たりがないって言ってるんで、お引き取りください!」
気の強い娘である。ここはユキヒの夢の中であり現存しない人物だが、実際ユキヒにこのような友達がいるのだろう。
2人の友達はプイと振り替えり「行こう夕貴妃」と彼女を促し立ち去ろうとした。ユキヒは少し後ろ髪引かれる様にこちらを向いていたが、ディナと目が合うと慌てて反らし、友達の後を追っていこうとした。その時…

「なぜ自分で言わないんですか」
ディナはユキヒの細い腕を掴んでそう言った。
少し強い力で掴んでいるのだろう。一瞬驚いた後ユキヒが顔をしかめる。
「ディナ」
トルツも驚き、彼の名を呼ぶ。
不思議なことに彼ら以外の周りにいた生徒達が制止した、まるで時間が止まってしまったかの様に。
ユキヒは下を向いたまま何も言わない。ディナもユキヒを掴んだまま、ただ彼女を見つめるだけだった。
無音のまま時間だけが流れる。
しばらくするとユキヒの瞳から涙がこぼれる。トルツは驚いたが、ディナはそれでも彼女を放さない。

いつまでこの状況が続くかと思われたが、突然目が眩むほどの青い光にその状況は打ち破られた。
これにはトルツだけではなくディナも驚いた。
光が静まると、そこにはユキヒの姿はなかった。
今の光…。
「ここはユキヒの夢の中であり、心の中なんだからシンフィニアの力が存在しても不思議じゃないわ」
彼女からシンフィニアという言葉がでて驚いた。
「あなたは一体何者ですか」
ディナの問いには答えず、マイラはユキヒが消え去った場所を見つめ
「今のは逆効果だったかもね…」
とつぶやく。
「けど…おかげで彼女の悩みがわかりました」
何だか時間がない様な気がした。マイラの謎はここを出てから聞くとして、とにかくユキヒにもう一度会わなければ。

彼女に伝えなければ…。


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【一旦あとがき】

お読み頂きありがとうございました。
この話は2013年に携帯(ガラケー)のメモ帳に書いていた小説です。最初の方のみイベント時のペーパーに少し載せたことはありますが、全体を公開するのは初めてです。
ほとんど当時のまま載せています。小説は不慣れで読みずらい部分もあったかと思いますが、元々は自己満足で自分の為に書いていた物なので多めに見て頂けるとありがたいです。

そして、途中ですね。思いっきり。。。
「ええ?!Σ 続きはどうなるの?!!」と一番思っているのは私自身です(笑) 普段漫画はプロット、セリフ、ネーム…と全て決定してから描きだすのですが、この小説は本当に思いつくまま書いたためプロットですら完結していません、なんとなく頭の中で形になっている程度ですが、文字に起こせるほどしっかりしたものではないので、一旦はここで終わります。

いつか続きを書ける様に考えて行きたいと思っておりますので、またその時にご縁があれば幸いです。ここまでお付き合いありがとございました。

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エメリフ番外編小説

はじめに: https://prairial.blog.shinobi.jp/Entry/64/
01.目覚めぬ少女: https://prairial.blog.shinobi.jp/Entry/65/
02.旅での出会い: https://prairial.blog.shinobi.jp/Entry/66/
03.魔術師マイラ: https://prairial.blog.shinobi.jp/Entry/67/
04.夢の中: https://prairial.blog.shinobi.jp/Entry/68/
05.異世界の彼女: https://prairial.blog.shinobi.jp/Entry/69/

↓2017年に描いたイラスト


※小説を読んで下さったフォロワさんが「制服姿のディナとトルツを見てみたい」と言って下さったので昔描いたものをひっぱりだしてきました(でも小説よりは新しい)
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